2025年現在、日本は人口に占める65歳以上の割合が29.3％を超える“超高齢化社会”です。
お年寄りが増えている今、「社会に必要な仕事」として介護職に注目が集まっており、国も従事者の待遇改善や法整備などを急いでいます。
しかし一方、介護職や、介護施設のオーナーを生業とするのは、一部の人の間で「ヤバい」「やめといた方がいい」ともいわれています。
一体どうして「介護施設オーナーはヤバい」といわれているのでしょうか？
今回の記事では、その理由を解説するとともに、介護施設オーナーの“ヤバい”を改善するためにはどうすればいいか、および他業種へ転職するならどのような仕事がおすすめか、などについて解説していきます。
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＜目次＞ |
なぜ介護施設オーナーは“ヤバい”と言われるのか？
高齢化が加速する日本において、介護職は「社会に必要」な仕事です。
国も各種法整備を進めるなど、介護職の待遇改善に努めています。
しかし一方で、実際の現場は想像よりずっと大変という声も聞かれます。
過酷な現場で次第に体力や気力を奪われてしまい、「このまま続けられるか不安」と悩むオーナーは少なくありません。
そういった事情から、就職系、起業系の情報サイトなどでは「介護施設オーナーはヤバい」「介護施設のオーナーになるのはやめといた方がいい」といった意見がよく見受けられます。
この章では、巷でよく聞く“介護施設オーナーはヤバい”と言われる理由を順に整理していきましょう。
ヤバい理由①24時間・365日の運営が重荷
「介護施設オーナーはヤバい」という意見の理由として最も多数なのが、「常に気を張っていないといけないから」というもの。
介護する側は施設利用者の命を預かっています。
そのため、24時間365日、常に利用者の健康や安全をしっかり管理しなければなりません。
- 夜間の見守り
- 休日の急な対応
- 設備トラブル
など、トラブルやイレギュラーは常に発生するリスクがあり、オーナーは「何かあったら呼ばれる」緊張を常に抱えています。
そのため、仕事と私生活の境界がなくなりやすく、ワークライフバランスが崩れやすいという特徴があります。
ヤバい理由②慢性的な人手不足でオーナー自身が現場入り
介護業界全体の課題として、スタッフ不足が慢性化しています。
シフトに穴が空いたとき、代わりを見つけられないと、最終的に現場へ入るのはオーナーです。
現場業務が続くと、
- 採用
- 研修
- 家族対応
- 収支管理
といった運営側の仕事が後回しになります。
結果として、平日は現場、休日は事務作業、と休む暇がなくなってしまうオーナーも少なくありません。
ヤバい理由③夜勤・緊急対応で休めない
トラブルは24時間365日、いつ発生するかわかりません。
その中でも特に深夜は、利用者がトイレや徘徊などで一人で立ち歩くことが多く、安全面のリスクが高まる時間帯です。
- 転倒
- 体調急変
- 家族への緊急連絡
こうした対応が続くと、軽い睡眠不足の状態が続きます。
睡眠不足になると、意思決定や認知の機能が衰え、的確な判断・行動を取ることが難しくなるなどの悪循環に陥ります。
介護職は、安全面で常に最適な判断が求められる現場だけに、精神的な負担がとても大きい仕事といえます。
ヤバい理由④精神的・身体的なストレスが大きい
介護施設のオーナーは、
- 利用者
- 家族
- スタッフ
という“三方向”への気配りが欠かせません。
そのため、
- クレーム
- スタッフ間のトラブル
- 家族との調整
など、人間関係の調整へも対応が求められます。
介護施設オーナーは、こうした感情労働の比重が大きい仕事でもあります。
ヤバい理由⑤高報酬に見えて利益が圧迫されがち
介護施設は毎月の収入が安定しやすいと言われます。
とはいえ、実際には人件費と設備費の比率が大きく、利益が思ったほど残らないという声がよく聞かれます。
- 人手を増やす → 費用が増える
- 人手を減らす → 現場が回らない
このジレンマは避けづらく、制度の設計次第で利益が縮むこともあります。
結果として、働く時間は長いのに、“報われない感”が強い仕事ともいわれています。
介護施設オーナーの“ヤバい”を改善する方法
介護施設オーナーは負担が大きい仕事ですが、仕組みを整えれば負担を大幅に減らせる可能性もあります。
仕組み化やDX化などを上手く行い、運営の土台を改善することができれば、働き方も利益構造も大きく変わります。
ここでは、先ほどの章で解説した“介護職の難点・デメリット”を上手く改善する具体的な方法について見ていきましょう。
長時間体制をうまく仕組み化してリスクをチャンスに
介護施設は24時間体制のため、どうしても業務量が増えがちです。
ただ、この“常に稼働している状態”を逆手に取ると、運営を安定させるチャンスになります。
ポイントは次の三つです。
- 役割や権限を細分化し、オーナーが「判断」だけに専念できる体制をつくる
- 夜間の緊急対応を仕組み化して、呼び出しのルールを明確にする
- 管理者、リーダー層を育て、現場が自律的に動ける状態にする
こうした体制が整うと、オーナーが現場に入る頻度が減り、経営に集中できる時間が生まれます。
働き方改革とスタッフ定着で負担を軽減
介護施設を安定して運営するには、スタッフがいかに働きやすい環境を整備するかが重要です。
離職が多いと採用コストが増え、オーナーに負担として跳ね返ってきます。
まず整えたいのは、
- シフトの見直し
- 業務負担の分散
- ミスを報告しやすいルール作り
といった基本的な部分です。
職場の雰囲気がよい施設は、スタッフが自然と定着し、オーナー自身の緊急対応が減ることにつながります。
テクノロジー活用で効率化（見守りシステム・IT管理）
最近は、介護施設向けのITツールが増えています。
代表的なものは、
- 見守りセンサー
- 記録システム
- 勤怠管理ツール
といった“手間を減らす仕組み”です。
ITを導入すると、
- 夜間の巡回回数を減らせる
- 記録作業の時間が短くなる
- 業務の漏れが減る
といった効果があり、人手不足の補完→オーナーの負担が軽くなるという流れがつくれます。
資金管理・運営コストの見直しで収益改善
介護施設は設備や人件費の割合が大きいため、他の仕事に比べて利益率が低いといわれています。
しかし、収支を丁寧に見直すと「改善できるポイント」が意外と見つかったりします。
たとえば、
- シフト効率の見直し
- 不要な設備契約の削減
- 物品管理のルール化
- 研修や採用コストの最適化
といった取り組みは、財政へのインパクトが大きく、適切に実行すればコストを大きく改善できる可能性があります。
コストが抑えられると、利益が少しずつ積み上がり、オーナーが働きづめにならなくても運営が回るようになります。
介護経営だけじゃない — 転職は他のビジネス／業種も視野に
介護施設の運営は社会的な意義が大きい反面、従事者負担が大きいといわれる仕事です。
この記事をご覧の方の中にも、「介護の仕事は好きでも、この働き方は続けられない」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか？
仕事を続けるのに限界を感じている方は、この機会に他業種への転職も検討してみましょう。
大切なのは、介護だけが選択肢ではないという視点を持つことです。
介護と同じ“人の役に立つ仕事”は、そのほかにもたくさんあります。
他業種への転職も視野に入れることで、働き方の幅はかなり広がります。
まずは自分のスキルを整理しましょう
他業種へ転職する場合、まず最初に「これまでの仕事で獲得したスキル」を整理しておくと、転職先の候補が絞りやすくなるほか、面接などでも有利に立ち回ることができます。
介護業で培われるスキル
- 状況判断力（利用者の状態変化を素早く把握する力）
- コミュニケーション能力（高齢者、家族、医療職との連携）
- 観察力（小さな体調変化や表情の違いを読み取る力）
- 体力、持久力（長時間のケア業務に耐える基礎体力）
- 応急対応力（緊急時に適切に行動するための判断と行動力）
- 感情コントロール（利用者に寄り添いながら冷静に対応する力）
- 介護技術（移乗介助、入浴介助、食事介助などの専門技術）
- 記録作成スキル（ケア内容を正確に文章化する力）
- チームワーク（職種をまたいだ協働）
- 利用者、家族への説明力（専門的で込み入った状況を分かりやすく伝える力）
介護の経験はいろいろな業界で役に立つ！
スキルの整理が終わったら、次に「そのスキルが活かせる業種」を絞ってみましょう。
次のような業種は、未経験からでも始めやすく、介護で培ったスキルを活かせます。
- ハウスクリーニングや定期清掃サービス
- 高齢者向けの生活サポート
- 福祉以外の訪問サービス業
- 研修、相談業務
これらは「人とのやり取り」「段取り力」「トラブル対応」といった介護の経験がそのまま武器になります。
また、初期投資やランニングコストが少ないため、“小さく試しながら経営を拡大する”という進め方がしやすいのも特徴です。
無理なく始められる＆将来性もあるビジネスとは？
長く従事できる、および、経営を安定させやすい仕事を選びたい方は、
- 初期費用が重すぎない
- 自分が現場に入る時間を調整できる
- 顧客数の増減に柔軟に対応できる
- ひとりでスタートしても伸ばせる
といった条件を満たす業種が向いています。
たとえば、ハウスクリーニングのようなサービスは、
- 時間の自由が効きやすい
- 需要の季節変動が読みやすい
- 人が増えれば売上も伸びる
という特徴があり、“働き方のコントロール”がしやすい仕事です。
さまざまな業種を視野に入れ、選択肢をたくさん用意しておくことで、介護職だけに縛られず、比較しながら考えることができます。
【最後に】自分らしい働き方の選び方
介護施設の経営は、人の生活を支える大切な仕事で、やりがいも大きく、社会的にも非常に意義のある職業です。
ただし、その一方で、オーナーの負担が大きくなりやすいという部分もあります。
広く世の中に目を向ければ、あなたの経験を活かせる仕事は他にもたくさんあります。
“頑張り続けること”も大切ですが、無理なく続けられる働き方を選び、その上で生活を安定させることも非常に有意義な生き方です。
あなたに合った働き方を探す一歩として、他業種も視野に入れながら比較してみてください。
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